目次
申し入れ文を使うべきか、まず何を基準に考える?
ケガの状態を見通す
最初に見るべきなのは「ケガそのものの状態」です。
申し入れ文が必要かどうかは、感情の強さではなく、ケガの深刻度と今後への影響 から考えたほうがブレません。
- どの部位か(頭部・顔・関節・体幹など)
- 腫れ・あざ・出血の有無と程度
- 痛みが続いているか、一時的だったか
- 医療受診が必要と判断されたか/迷っているか
- その後も痛みや動かしにくさなどが続いていないか
こうした点を一度整理したうえで、
- 口頭のやり取りだけで済ませて良いレベルか
- 「記録として残しておきたい」レベルか
を切り分けます。
軽傷だから絶対に文章は不要 というわけではありません。
「今は軽く見えるが、本当にそうか」「同じようなケガが繰り返されていないか」といった視点も含めて、落ち着いて判断するイメージです。
説明の十分さを切り分ける
次に確認したいのが、「園からの説明の質」です。
- いつ・どこで・何をしている最中に起きたのか
- その場にいた職員・子どもの人数
- 転倒・衝突の直前にどんな動きがあったのか
こうした点が具体的かつ一貫して説明されているなら、口頭の追加質問で足りるケースが多いです。
一方で、たとえば次のようなときは要注意です。
- 説明のたびに内容が微妙に違う
- 「遊んでいて転びました」程度で場面が見えない
- 職員によって説明内容が食い違う
このような場合は、「事実を整理し、認識をそろえるための文書」として、申し入れ文が有効になります。
園の対応を見比べる
同じケガでも、園の対応次第で「文章にする必要性」は変わります。
- その場での応急処置は妥当だったか
- 連絡のタイミングは適切だったか(その場/お迎え時/後日)
- 園内での共有や再発防止の話が出ているか
再発防止の話
これらが一定程度整っているなら、
「念のため今回の経緯を共有したい」
という軽めの申し入れ文でも十分です。
逆に、
- 対応が遅い・曖昧
- 同じようなトラブルが繰り返されている
- 再発防止についての具体的な話が出てこない
といった場合は、文面のトーンを一段上げた申し入れ文を検討するラインと考えられます。
申し入れ文に必ず入れる要素
事実を書き出す
申し入れ文の核は「事実」です。ここが曖昧なまま感情を中心に書くと、かえって話がかみ合いません。
最低限、次の3点は押さえます。
- 日時・場所
例)「○月○日(○)○時頃、園庭での自由遊び中」 など - ケガの状態
部位、あざ・腫れの大きさ、出血の有無、医療受診の有無 など - 園の説明内容
「友達と走っているときに転んだ」「押された」「遊具から落ちた」など
ここには、
- 「見ていなかったに違いない」
- 「監督不足だと思う」
といった推測や評価は入れません。
あくまで「実際に聞いたこと・見たこと」だけを置きます。
確認したい点を明確にする
次に、「何を知りたいのか」をはっきりさせます。
質問がぼやけていると、園もどこまで答えればよいか分からず、やり取りが長引きます。
例:
- その場の職員配置(人数・位置)の確認
- ケガに至る直前の子どもの様子
- 周囲の子どもとの関わり方・やりとり
といったように、状況をイメージするうえで重要なポイントに絞るのがコツです。
質問を10個も20個も並べるより、2〜3点に絞ったほうが回答は具体的になりやすいと考えておくとバランスが取りやすくなります。
依頼内容を整える
最後に、「この文で何をお願いしたいのか」を文章にします。
- 説明をもう少し詳しく聞きたいのか
- 園内記録や事故報告書の内容を確認したいのか
- 今後の見守りや再発防止策について教えてほしいのか
依頼は、できれば1〜3点に絞るのがおすすめです。
「説明も、記録の開示も、体制改善も、謝罪も…」とすべて詰め込むと、園側も優先順位がつけられず、かえって進みにくくなります。
状況別に変わる文面の強さ
軽傷ケースを整理する
擦り傷・小さな打撲など、医療受診までは不要な軽傷の場合は、「状況の共有」と「今後の注意喚起」程度の柔らかい文面が基本です。
たとえば、
- 「今回の経緯を少し詳しく教えてほしい」
- 「今後同じような場面で、どのように見守っていただけるか知りたい」
といった、確認・共有寄りのトーンが中心になります。
軽傷でいきなり強い文面を出すと、「クレーム」と受け取られ、以後のコミュニケーションが重くなりやすいため注意が必要です。
説明不足ケースを見直す
ケガ自体はそこまで重くないが、説明が曖昧・食い違うケースでは、「説明の整理」を主目的にした文面を使います。
- 「○日と○日の説明内容に違いがあるように感じている」
- 「どの説明が現時点での整理された内容か教えてほしい」
といった形で、「事実の並び替え」と「認識のすり合わせ」の依頼を前面に出します。
ここで必要以上に「責任追及」のニュアンスを強めると、園が防御的になり、情報が出にくくなります。
重大ケガケースを比較する(重大なケガの場合)
骨折・頭部打撲・顔面の怪我・縫合が必要な切り傷など、明らかに重大なケガの場合は、依頼項目を一段強めた文面が必要です。
- 事故報告書などの作成・提供の依頼
- 医療機関へ説明するための、詳細な状況の確認
- 見守り体制や再発防止策についての具体的な説明の要請
などを入れます。
ただしそれでも、「園を攻撃する文」ではなく、**「子どもの安全のために必要な情報と体制を確認する文」**にとどめる方が、その後の調整がしやすくなります。
状況別に使える申し入れ文テンプレート
軽傷ケースのテンプレ
○○保育園
園長 ○○ ○○ 様いつも○○(子どもの名前)がお世話になっております。○○の保護者の○○です。
○月○日(○)に、○○が園庭で遊んでいる最中に転倒し、ひざを擦りむいた件についてご連絡いただきありがとうございました。
ご対応いただいたことに感謝しております。自宅で様子を見たところ、大きな問題はなさそうですが、
念のため当時の状況をもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
- どのような遊びの最中に転倒したのか
- その場にいらした職員の方の配置や人数
- 転倒の直前の様子で、先生方が気になった点があれば
今後も安心してお預けするために、当日の様子を具体的に知っておきたいという目的での確認です。
お忙しいところ恐れ入りますが、可能な範囲でお教えいただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
令和○年○月○日
○○ ○○(保護者氏名)
説明不足ケースのテンプレ
○○保育園
園長 ○○ ○○ 様いつも○○(子どもの名前)がお世話になっております。○○の保護者の○○です。
○月○日(○)に○○が○○でケガをした件につきまして、その都度ご説明いただきありがとうございます。
ただ、○月○日に担任の先生から伺った内容と、
○月○日に○○先生から伺った内容に違いがあるように感じており、
現時点での整理された経緯を一度確認させていただきたいと考えております。具体的には、次の点について教えていただけますでしょうか。
- ケガが起きるまでの時系列(何時頃/どの場面で/どのような経過だったか)
- その場にいらした職員の方の人数と位置関係
- 園として把握されている原因の整理と、今後の見守り方法
決して園を責める意図ではなく、
「私どもが理解している内容」と「園で整理されている内容」をそろえることが目的です。
そのうえで、家庭としてもどのように子どもを見守ればよいか考えたいと思っております。
お忙しい中恐れ入りますが、ご確認のうえご回答いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
令和○年○月○日
○○ ○○(保護者氏名)
重大ケガケースのテンプレ
○○保育園
園長 ○○ ○○ 様いつも○○(子どもの名前)がお世話になっております。○○の保護者の○○です。
○月○日(○)に○○が園で頭部(額)を打撲し、その後○○病院を受診した件につきまして、ご対応いただきありがとうございました。
医師からは「○○」との診断を受け、現在は経過を見ている状況です。
今後の通院や生活での注意点を検討するためにも、園での状況をもう少し詳しく把握したいと考えております。つきましては、下記の点について文書でご説明いただけますでしょうか。
当日の経緯と時系列
- 何時頃、どの場所で、どのような遊びの最中に起きたか
- ケガに至る直前の○○の様子
見守り体制と職員配置
- その時間帯の職員の人数と配置
- 事故発生時、どの位置から子どもたちを見守っておられたか
園として把握されている原因と、今後の再発防止策
- 今回の事故原因の整理
- 今後同様の場面で取られる予定の安全対策
また、可能であれば、園として作成されている事故報告書など、今回の件に関する記録の内容も確認させていただけますと幸いです。
子どもの安全と健康のため、そして今後も安心してお預けするために、
事実関係と再発防止策を一緒に確認させていただきたいという趣旨です。お忙しいところ大変恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
令和○年○月○日
○○ ○○(保護者氏名)
申し入れ文テンプレートの構造と調整方法
基本形の流れを押さえる
どのテンプレも、基本構造は同じです。
- 挨拶・日頃の感謝
- ケガの事実と、これまでの園の対応へのお礼
- 今回、特に確認したい理由・背景
- 確認したい点・依頼内容の箇条書き
- 目的の再確認(責める意図ではなく、安全確保や状況把握のためであること)
- 締めの挨拶・署名
この型さえ守れば、文面の強さは、③と④の中身をどこまで踏み込んだ内容にするかで調整できます。
状況に応じて追記する点を見通す
テンプレは「そのままコピペして終わり」ではなく、ケースごとに調整が必要です。
- 医療受診をしたか/していないか
- 過去にも同様の出来事があったか
- すでに口頭でどこまで話しているか
などによって、追記すべき情報は変わります。
**基本形を崩さず、「必要な情報だけを追加する」**ことを意識すると、読みやすく、伝わりやすい文になります。
園との関係を悪化させない申し入れ文の使い方
伝え方のトーンを整える
同じ内容でも、トーンによって受け取られ方は大きく変わります。
- 決めつけを避ける
- 「〜と決めつけている」ではなく「〜と感じております」程度にする
- 感情表現は控えめにする
- 「大変心配しております」くらいにとどめる
- 「責任追及」ではなく、「安全確保」「状況把握」を目的として明記する
この3点を押さえるだけで、園側も情報を出しやすい文面になります。
共有の仕方を選ぶ
最後に、作った文をどう渡すかも重要です。
- 面談時に紙を持参して読み上げつつ渡す
- 連絡帳で「別途文書をお渡しします」と添えて提出する
- メールで送り、後日面談で内容を一緒に確認する
園との関係性や普段の連絡手段に合わせて選びます。
「文書=対立」ではなく、「お互いの認識をそろえるための整理メモ」
という前提を自分の中で固定しておくと、トーンも運び方もブレにくくなります。
