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いじめ後のトラウマ反応を見抜く方法|専門家につなぐべき判断基準

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いじめ後に起こりやすいトラウマ反応の仕組み(恐怖記憶と身体反応の結びつき、安全感の欠如、自責感、復学による負荷など)を整理しつつ、「どこまでが通常のストレス反応で、どこから専門家につなぐべきか」を具体的に見極めるためのガイドです。行動・身体症状・感情・生活への支障度・学校での様子といった観察ポイントに加え、強い回避行動や慢性的な体調不良、自己否定・暴言、自傷念慮など“危険ライン”の判断基準、家庭でできる初期ケアと避けるべき対応、医療・心理職・学校との連携方法までを丁寧に解説します。

いじめ後のトラウマ反応を見抜く方法|専門家につなぐべき判断基準

いじめ後に“トラウマ反応が起きやすい理由”を最初に押さえる

強い恐怖体験は記憶と身体反応を結びつける

いじめの場面で感じた強い恐怖や恥ずかしさは、「嫌なことを思い出す」だけで終わらないことがあります。頭では「もう終わった」と分かっていても、似た状況や言葉に触れた瞬間、心臓がドキッとする、息が苦しくなる、涙が出てくる──そんな反応が出ることがあるんですね。
これは、脳の中で恐怖を察知する部分(よく扁桃体と呼ばれます)が、そのときの記憶と身体の反応をセットで覚えてしまうからです。「忘れられない自分が弱い」からではなく、体の仕組みとしてそう反応してしまう。まずはその前提を押さえておくと、お子さんを責めずに見守りやすくなります。

安全がない環境ではストレスが長期化しやすい

いじめが続いている、あるいは終わったのかよく分からない状態が続くと、心も体もずっと緊張したままになりやすいです。教室に行くだけでドキドキする、休み時間が近づくとソワソワする、といった感覚が毎日のように積み重なると、ストレスが抜けるタイミングがなくなってしまいます。
本来は「怖いことは終わった」「もう安全だ」と感じられて初めて、トラウマ反応は少しずつ弱まっていきます。逆に、安全が保証されないまま復学を急いだり、「前と同じ生活」を求めすぎると、ストレスが長引きやすい構造があると理解しておくとよいでしょう。

自責感がトラウマを深める構造を理解する

いじめの被害にあった子どもほど、「自分にも悪いところがあった」「言い返せなかった自分が情けない」と、自分を責める方向に考えがちです。本当は被害にあった側なのに、「あのとき違う行動をしていたら」「空気を読めなかった自分が悪い」と、出来事の原因を自分の中だけに探してしまうんですね。
こうした自責感が強いと、「あんな自分はもうダメだ」という自己否定につながり、トラウマ反応を長引かせる要因になります。周囲がいくら「あなたは悪くない」と伝えても、本人の中で考えが固まっていると届きにくいものです。「そう感じてしまうくらい、つらい体験だったんだな」と理解する姿勢が大切になります。

学校生活の再開が負荷として働く場合がある

いじめがあったあと、学校に戻ること自体が大きな負担になる場合もあります。同じ教室、同じ廊下、同じ休み時間の雰囲気……それらが全部「嫌な記憶と結びついた場所」として感じられてしまうと、登校するだけで精一杯という状態になりやすいです。
周りの大人から見ると「普通に通えているように見える」日でも、本人の中ではずっと神経が張りつめているかもしれません。学校生活の再開はゴールではなく、「負荷がかかる場に少しずつ戻っている途中」だと捉えるほうが、様子を丁寧に見守りやすくなります。

親の安心行動が“過保護化”に転じるリスクを理解する

子どもがつらそうにしている姿を見ると、親としては「少しでも楽にしてあげたい」と思うのが自然です。学校を完全に休ませ続ける、代わりに何でも先回りしてやってあげる、嫌がる話題はすべて避ける……といった関わりは、一時的には安心を与えます。
ただ、その状態が長く続くと、「自分では乗り越えられない」「親がいないと何もできない」という感覚を強めてしまうこともあります。トラウマ反応が疑われるときこそ、「守る部分」と「少しずつ自分でできることを増やしていく部分」のバランスが大切になってきます。


トラウマ反応を“通常のストレス反応”と切り分けて見抜く

行動の変化(回避行動・登校渋り・過警戒)を見抜く

いじめ後の変化で最初に現れやすいのは、言葉よりも行動のパターンです。特定の教室や廊下を極端に避ける、休み時間や給食だけ別室に行きたがる、登校前に強く渋る──こうした様子が続く場合、単なる気分の問題ではないかもしれません。
また、「誰かに見張られている気がする」「ちょっとした視線や笑い声にも敏感に反応する」といった過警戒も、心が安全だと感じられていないサインになりえます。頻度や強さがどう変化しているか、少し距離を置いた視点で見ておくと判断しやすくなります。

身体症状(頭痛・腹痛・睡眠障害)の継続性で判断する

心の負荷は、しばしば身体の症状として現れます。登校前になると必ずお腹が痛くなる、夜なかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚める、朝起きたときに強いだるさや頭痛を訴える……といった状態が続く場合、単なる体調不良では片づけられないこともあります。
ポイントになるのは「どれくらいの期間」「どの場面で出ているか」です。数日で落ち着いていくのか、同じ状況になるたびに繰り返されているのか。継続性が見られる場合は、トラウマ反応や心の不調のサインとして捉え、医療的な評価も視野に入れたほうが安心です。

感情の揺れ(涙・怒り・無反応)のパターンを読む

感情面でも、トラウマ反応では特徴的な揺れ方が出ることがあります。些細なことで涙が止まらなくなる、急に怒りを爆発させる、一方で何を言われても「別に」と感情を閉じてしまう──こうした両極端な状態を行き来することも珍しくありません。
一度落ち込むと長時間戻ってこない、以前は楽しめていた遊びにまったく興味を示さなくなる、といった変化も、心のエネルギーがかなり消耗しているサインになりえます。「前と比べてどうか」という視点で、変化の幅と続き方を見ていくことが大切です。

日常生活への支障度(食事・学習・人間関係)を確認する

トラウマ反応かどうかを考えるときは、「日常生活にどれくらい影響しているか」がひとつの軸になります。食欲が極端に落ちている、好き嫌いが急に増えた、宿題や学習にまったく手がつかない、友達との関わりを徹底して避ける……といった変化が、どの程度の期間続いているかを見てください。
一時的な落ち込みであれば徐々に元に戻っていきますが、数週間たっても改善が見られない場合や、むしろ悪化しているようなら、家庭だけで抱え込まず、専門家への相談を検討するサインになります。

家庭では見えにくい“学校内の兆候”を担任と照合する

家の中では比較的落ち着いて見える子でも、学校では別の顔をしていることがあります。逆に、家庭で荒れていても学校では無理に頑張っているケースもあります。家庭で見える様子と、学校での様子を照らし合わせることで、初めて全体像が見えることも多いです。
担任の先生に、「授業中の様子」「休み時間・給食の過ごし方」「友達との距離感」など、具体的な観察ポイントを聞いてみると、家庭の印象とのギャップが分かります。そのギャップ自体が、子どもがどこで無理をしているかを示すヒントになります。


専門家につなぐべき“危険ライン”を明確に判断する

強い回避行動が2週間以上続く

特定の教室・時間帯・人間関係を強く避ける様子が、2週間以上はっきり続いている場合、単なる「気が乗らない」レベルを超えている可能性があります。登校そのものを拒否し続ける、校門で固まって動けなくなる、といった状態が続くときも同様です。
このレベルになると、周囲が説得するだけでは状況が動きにくくなります。子ども自身も「行けない自分」を責めてしまいがちなので、心の専門家と一緒に、回避の背景や負荷を整理していくことが重要になってきます。

身体症状が慢性化し医療的評価が必要

頭痛や腹痛、吐き気、めまいなどが長期間続いている場合は、小児科や心療内科などで一度評価を受けたほうが安心です。検査で明確な異常が見つからなかったとしても、「心因性の症状の可能性がある」と分かるだけでも、対応の方向性が変わっていきます。
毎朝のように同じ症状が出る、週の大半が体調不良で占められている、といった状況は、生活機能がかなり落ちているサインです。様子見を長引かせすぎず、「医療的に見てどうか」を早めに確認する姿勢が大切です。

自己否定・罪悪感が強く言動に現れている

「全部自分のせいだ」「自分なんていないほうがいい」「どうせまたいじめられる」といった自己否定的な言葉が増えている場合、心のダメージは相当深いと考えたほうがいいでしょう。失敗したときに必要以上に自分を責める、褒められても「たまたまだよ」と受け取れない、といった反応も同じです。
こうした認知の歪みが固定化すると、トラウマ反応だけでなく、うつ状態など他の心の不調にもつながりやすくなります。家庭での声かけだけで修正しようとせず、心理士や医師と一緒に、考え方のクセを丁寧にほどいていく必要が出てきます。

暴言・突発的行動など情緒コントロールの破綻が見られる

怒りや不安が強すぎると、物に当たる、家族に暴言を吐く、自分でも止められないほど感情が爆発する──といった形で表に出ることがあります。一度落ち着いても、ちょっとした刺激で再び急激に荒れる場合、情緒のコントロール機能がうまく働いていない可能性があります。
この状態を「反抗期だから」とだけ捉えてしまうと、必要な支援が遅れることもあります。本人も「自分でもどうしていいか分からない」と苦しんでいることが多いので、外部の専門家に入ってもらい、怒りや不安の扱い方を一緒に整えていくことが大切です。

自傷念慮・希死念慮に関わる発言がある

「消えてしまいたい」「死んだほうがまし」「自分なんていなくていいのに」といった言葉が出ている場合は、迷わず“危険ライン”と考えるべきです。たとえ冗談めかして言っているように見えても、心の底に強い絶望感がある可能性があります。
このレベルのサインが見られたときは、家庭だけで抱え込むのは非常に危険です。早急に医療機関や相談窓口に連絡し、必要であれば救急受診も含めて、安全を最優先にした対応を検討してください。


家庭でできる“初期ケア”と避けるべき対応を整理する

安全感を優先し、行動範囲と刺激を一時的に減らす

トラウマ反応が疑われるとき、まず大切なのは「これ以上傷つく場面を増やさない」ことです。無理に学校や人間関係に戻そうとするより、しばらくの間は刺激を減らし、安心して過ごせる範囲を少し狭めるほうが、回復にはプラスに働きます。
ただし、それを長期間続けると「外に出ること自体が怖い」という感覚を強めてしまうので、一時的な措置だと意識しておくことが重要です。専門家と相談しながら、「今はどこまで広げてよいか」を一緒に判断していけると安心です。

感情の否定を避け“そのまま受け止める姿勢”を取る

「そんなに気にしなくていいよ」「考えすぎだよ」と、子どもの不安や怒りを打ち消すような言葉をかけてしまうと、本人は「分かってもらえない」と感じて心を閉ざしやすくなります。まずは、「そんなふうに感じるくらい、つらかったんだね」「怖かったね」と、感情そのものを認める言い方が大切です。
受け止めた後で、「どうしたら少し楽になりそうかな」と一緒に考えていくと、子ども自身も自分の感情を整理しやすくなります。正論で説得するより、「今の気持ちを出しても大丈夫」という安全感を作ることが、初期ケアの土台になります。

励ましや焦らせる声かけを控える

「頑張ればきっと大丈夫」「早く忘れよう」「みんなだってつらいことはあるよ」といった言葉は、一見前向きですが、トラウマ反応が強い時期にはプレッシャーとして響きやすくなります。「できない自分はダメなんだ」と、自己否定を深めてしまうこともあります。
もちろん、回復してきた段階では励ましが力になることもありますが、初期の段階では「頑張らせる」より「頑張らなくていい時間を作る」ほうが重要です。歩くスピードを無理に上げるのではなく、一緒に歩幅を落とすイメージを持っておくとよいかもしれません。

生活リズムを整え回復基盤をつくる

トラウマ反応のケアというと、どうしても心の面に意識が向きがちですが、回復の土台になるのは「睡眠・食事・活動量」といった基本的な生活リズムです。夜更かしが続く、食事が偏る、家の中でじっとしている時間が極端に長い、といった状態が続くと、気持ちの落ち込みも強くなりやすくなります。
いきなり完璧な生活を目指す必要はありません。就寝時間を15分早めてみる、朝少しだけ日光を浴びる、週に数回でも外を一緒に歩く、といった小さな工夫から始めてみてください。身体が少し整ってくると、心の回復力も上がっていきます。

“できたこと”に焦点を当て微小な成功を積む

トラウマ反応が続いている時期は、「できないこと」「行けなかった日」にどうしても意識が向きやすくなります。親子ともに、「また失敗した」「やっぱりダメだ」という感覚が積もっていくと、自信がどんどん削られてしまいます。
その流れを変えるために、どんなに小さなことでも「できたこと」に目を向けて言葉にしてあげてください。玄関までは出られた、先生と少し話せた、夜に泣かずに眠れた……など、その日その日の“小さな一歩”を一緒に確認していくことが、回復への道のりを支える力になります。


専門家・学校と連携し、回復ラインを安定させる方法

小児精神科・心理士のどの領域に相談するべきか理解する

専門家と言っても、役割はさまざまです。小児科や小児精神科などの医療機関は、診断や薬の必要性の判断、身体症状との関係の評価を担います。心理士やカウンセラーは、話を聴きながら気持ちや考え方を整理したり、トラウマに対する心理的ケアを行う役割が中心です。
「どこに行けばいいか分からない」ときは、まずかかりつけ医や自治体の相談窓口に問い合わせてみると、地域の医療・心理資源を教えてもらえることが多いです。一人で探すより、専門家のネットワークを頼るほうが近道になることも少なくありません。

学校へ観察ポイントと配慮事項を共有する

家庭だけでお子さんの状態を見ていると、学校でどんな様子なのかが分からず、不安が強くなりがちです。担任や養護教諭に対して、「どんな場面で不安が出やすいのか」「どんな配慮があると助かるのか」を事前に共有しておくと、学校側も具体的に動きやすくなります。
たとえば、「休み時間は特定のグループから距離を取りたい」「いざとなったら保健室に行ってもよい合図を決めたい」など、場面ごとに希望を整理して伝えると、子どもの安全感も高まりやすくなります。

復学スピードを“段階的”に調整する

トラウマ反応が強いときに、いきなり「明日からフルで登校」とすると、負荷が高すぎて再び崩れてしまうことがあります。午前中だけの登校から始める、曜日を限定する、特定の授業だけ参加する、といった段階的な復帰プランを学校と一緒に組み立てていくことが大切です。
段階を上げるタイミングは、「ある程度安定した状態が続いているか」「本人がどこまでなら頑張れそうと思えているか」を目安にして、無理のない範囲で少しずつ広げていくイメージを持ってください。

定期的に状態をモニタリングし悪化サインを早期発見する

トラウマ反応は、良くなったり悪くなったりをくり返しながら、ゆっくりと回復していくことが多いです。一度調子が上がったように見えても、行事や人間関係の変化などをきっかけに、再び強く症状が出ることもあります。
そのため、専門家・学校・家庭の三者で、定期的に「最近の様子」「気になる変化」「新たに出てきた不安」を共有する場を作っておくと安心です。悪化のサインを早めにキャッチできれば、対応も早く打てるので、再び大きく崩れる前に軌道修正しやすくなります。

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