住民監査請求とは
当記事では、主に住民監査請求書の書き方や、住民監査請求書のテンプレを探している方向けに、行政実務ベースで実際にどういう流れで住民監査請求まで持っていくのかも説明していきます。
まず、最初に言っておくと、
実際に目の前で不正に遭遇して、すぐに請求書を提出したとしても、まず住民監査請求は通りません。
ほぼ絶対に通らないと言っても良いです。 ただし、ここで言う「通らない」は"形式不備で弾かれる or 内容を精査しないで終わる"という意味です。
その理由は主に三つです。
まず一つが、監査委員は住民側ではなく行政寄り
監査委員は検査対象の自治体から人件費をもらっており、自治体の「内輪」のような構造になっており、往々にして行政の肩を持つケースが多いです。
ですので、感情論やざっくり書いた請求は流されます。
二つ、形式的に非常に厳しい制度
住民監査請求というのは、行政法の世界で最も書式ミスに厳しい部類の制度になります。 例えば、
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証拠の列挙がない
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不作為-違法性-損害の因果関係を書いていない
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住民としての利害を示していない
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要求事項が明治されていない
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手続きの法的根拠を書いていない
これらがかけていたら、内容以前に形式不備扱いで却下されます。
三つ、自治体側もできるだけ棄却したいと考えている
住民監査請求が受理されると:
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調査に手間
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記録に残る
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責任の所在が発生する
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場合によっては職員の処分に繋がる
→ 行政側は“そもそも受け取りたくない”というのが本音になります。
では、どのようにすれば通せるのか?
住民監査請求は、なにも住民と自治体を衝突させるための制度ではなく、かなり砕いた言い方をすれば、"行政の逃げ道を潰して、記録を残させる制度"だという理解が重要になってきます。
まず、どういった場面で住民監査請求を行うべきなのかを紹介していきます。
主に住民監査請求とは、こういった場面で行われることがあります。
① 自治体職員の“誤った事務処理・対応ミス”で不利益が生じたとき(最も多い)
<例>
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補助金の説明-案内が誤っていて不利益が出た
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行政職員のミスで必要な手続きを逃した
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担当者の案内が矛盾していた
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村の施設費が異常に高額なまま放置されている
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特定業者ばかりに発注している
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公金を私的に利用した疑いがある
→ 地方紙に載るような事案も含む。住民が「おかしい」と感じれば対象。
② 公金(税金)の使い方が不適切と思われるとき
<よくある兆候>
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担当課が「書面では回答できない」と避ける
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口頭対応ばかりで記録を残そうとしない
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公的文書を出さない-渋る
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説明責任から逃げようとしている
→ 書面に残らない=後で責任追及できない。監査請求が“正式な記録”を作る。
③ 自治体内部で“隠蔽”が行われている可能性があるとき
例:
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事実関係を伏せようとしている雰囲気
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担当者同士で責任を押し付け合う
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文書化を避ける動きがある
④ 法令・条例違反の疑いがある手続きが行われたとき
例:
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法定手続きを無視した処理
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告知-通知の怠慢
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条例と異なる説明をされる
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法解釈を勝手に変更して運用されている
⑤ 自治体の“無作為”(やるべきことを放置)が原因で損害が出たとき
例:
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危険な空き家の放置
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道路-公共物の管理放置による事故
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本来必要な情報提供を怠った
⑥ 行政が“責任を曖昧にして逃げようとしている”とき
例:
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「私の担当ではない」と押し付け合う
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窓口がたらい回し
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誰も説明責任を負わない
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文書を出さないように仕向けられる
→ 監査請求は“逃げ道を塞ぐ”ための制度。
【住民監査請求の超実践ステップ】
さて、住民監査請求の性質と実施する場面をご理解頂いた上で、以下は超実践的なステップをご紹介していきます。
筆者が実際にこのステップで実行し、問題解決まで至りましたので、どの都道府県でも通用します。
STEP 0 : トラブル発生(行政ミス・説明矛盾・損害)
行政担当者のミスや説明不備・口頭での誤誘導で住民に損害が生じた段階になります。
ここでやることは本当に一つだけ。
→【事実ベースの記録を残す】
本当にこれに限ります。むしろこれをしないと住民監査請求はできないと思ったほうがいいです。
- 日時
- 誰が
- 何を言った
- どんな損害を受けた
スマホでもメモ帳でも構いませんし、理想は録音をすることです。
そして、窓口担当の職員と話をするときは最後に、「これまでに頂戴した意見は、全て〇〇市役所の公式見解、意見という認識でよろしいでしょうか?」と聞いておきましょう。
もしここで、「いや〜あくまでこれは私の意見で。。。」と言われてしまっても、メモは必ずしておきましょう。
STEP 1 : 行政に“書面で回答を求める”
ここが一番のキモです。
必ず「書面」で回答を要求する!!
住民監査請求は「突然提出しても絶対に通らない制度」であり、 その理由は 監査委員が一次書面(行政とのやり取りの記録)を重視するため です。
したがって、監査請求の前に必ず
「行政回答確認書」を提出します。
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これは、
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いつ
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どこで
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誰が
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何を説明したのか
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その説明が正確か
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行政にどのような義務があったのか
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どの不作為 or 違法があったのか
を行政に対して 文書で確認するための書面 です。
行政回答確認書があることで、 監査委員が
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行政側の主張
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住民側の主張
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争点
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法的根拠
を理解しやすくなり、形式不備で棄却されるリスクが激減 します。
→詳しい行政回答確認書の説明はこちら
こちらのフォーマットは「○月○日の説明は以下の通りでしたが、事実関係と法的根拠を文書で回答願います。」のように簡易的に自作してもいいですがしっかりとしたフォーマットを使うとなれば、以下の文章メーカーを利用した文章作成が簡単で確実です。
行政回答確認書のフォーマットはこちら
この記事で学んだ内容を、文章メーカーでそのままテンプレ化できます。
STEP 2 : 監査請求書の雛形を入手
監査請求書の雛形は、各自治体のホームページからダウンロードできることが多いです。
自分の住んでいる自治体のものを必ず確認しましょう。
お住まいの自治体の様式を確認することができましたら、こちらの文章メーカーでの住民監査請求書と照らし合わせて作成します。
住民監査請求書のフォーマットはこちら
この記事で学んだ内容を、文章メーカーでそのままテンプレ化できます。
STEP 3 : 監査請求書を作成
雛形をもとに、実際に監査請求書を作成していきます。
このとき、以下のポイントに注意。
- 事実関係は時系列で
- 自分の主張は明確に
- 証拠書類は添付する
特に、証拠書類は非常に重要です。
- 写真
- 録音
- 文書
これらは必ずコピーを取って、原本は手元に保管しておきましょう。
STEP 4 : 提出前の最終確認
監査請求書が完成したら、提出前に以下の点を確認。
- 書式に不備はないか
- 添付書類は揃っているか
- 提出先は間違っていないか
この確認を怠ると、また最初からやり直しになる可能性があるので、くれぐれも注意。
STEP 5 : 監査請求書の提出
いよいよ、監査請求書の提出です。
住民監査請求書は、 自治体の監査委員事務局(通常は総務課)へ提出します。
ただし、自治体によっては異なる場合もあるので、必ず事前に確認を。
提出方法は、郵送または持参。
このとき、必ず「受領証」をもらうようにしましょう。
STEP 6 : 受理通知の確認
監査請求書を提出すると、通常は受理通知が届きます。
この通知が来ないと、正式には受理されていないことになるので注意。
受理された場合、あとは監査結果を待つだけです。
STEP 7 : 結果通知の確認
監査の結果、請求が認められた場合は、何らかの形で通知が来ます。
このとき、改善策や再発防止策なども示されることが一般的です。
もし、請求が却下された場合でも、理由が通知されるはずです。
まとめ
住民監査請求は、非常に厳格な手続きが求められる制度ですが、正しい手順を踏めば必ず受理されるものです。
重要なのは、
- 事実に基づいた正確な情報
- 明確な要求事項
- 十分な証拠書類
この三つをしっかりと押さえて、適切な手続きを行うことです。
勘違いされがちなことですが、住民監査請求は決して行政と争うことではありません。
行政の透明性を高めるための当然の住民の権利ですから、なにか不自然に思うことがあれば必ず行うべきだと筆者は考えます。
なにより、住民監査請求を行うのに、別に弁護士を雇う必要があるわけではないですし、お金もかかりません。
ノーリスクで透明性を証明できるのであれば必ずしたほうが良いでしょう。
ぜひ、この記事を参考にして、正しい住民監査請求を行ってください。
