【完全版】いじめ加害者への損害賠償・内容証明・処分要求の実務ガイド
– 法的根拠 × 実務フロー × 証拠レベルを完全整理 –
目次
はじめに
本記事は、「子どもがイジメに遭った時の完全ガイド(初期対応〜学校交渉)」の次のステージとして、損害賠償請求や処分要求に進むための 法的フェーズ専用ガイド です。
具体的には、次のような状況を想定しています。
- 学校が動いてくれない・説明が不誠実
- 学校側の隠蔽・調査不備が疑われる
- 内容証明・慰謝料・損害賠償で落とし所を探っている
こうしたケースに対して、
① 行政ルート(教育委員会・監査請求)
② 損害賠償(加害者・学校)
③ 和解書・訴訟の実務
を順番に実行できるように、手順と考え方を体系的に整理していきます。
初期フェーズの進め方(証拠集めや学校との相談の基本)は、すべて「子どもがイジメに遭った時の完全ガイド(初期対応〜学校交渉)」にまとめてあります。証拠整理や学校対応がまだ十分でない場合は、必要に応じてそちらを先に確認してください。
必ず「証拠」と「学校への相談」をある程度済ませてから、以下のルートに進んでください。
何も記録がないまま損害賠償や教育委員会への要求をしても、現場はほとんど動きません。
法的フェーズの特徴
この法的フェーズでは、 感情や説得ではなく、「要件・条文・証拠」で結論が決まります。
ここがすべての土台です。
実際にいじめが起きていても、証拠が不足していたり、法律上の要件に当てはまらなければ、損害賠償や各種の要求は認められません。
基礎となる条文は、例えば次のようなものです。
- 民法709条(不法行為)
- 民法710条(慰謝料)
- 民法714条(監督義務者責任)
- 民法715条(使用者責任)
- 国家賠償法2条
- いじめ防止対策推進法28条(調査義務)
これらを前提に、
- どこまで責任を問えるか
- どの証拠が有効か
- いくら請求できるか
- どのルートで進めるか
が決まっていきます。
この記事では、これらの法律を 「一般の保護者でも理解し、実行に移せるレベル」 まで噛み砕いて整理します。
条文を覚える必要はありません。
まずは「今うちの子に起きていることが、どの要件に当てはまりそうか」を意識しながら読み進めてみてください。
このページを読むメリット
この記事を読むことで、次のような場面で役に立ちます。
- 加害者親の責任を 条文ベースで説明できる
- 損害賠償の 慰謝料相場を“判例レベル”で把握できる
- 学校の調査不備を 法的な“過失”として指摘できる
- 行政ルート(教育委員会)の 根拠条文を理解して動ける
- 弁護士へ相談する際の 資料を一式そろえた状態で渡せる
「保護者だから」「法律に詳しくないから」という理由だけで、機械的に不利になる時代ではありません。
正しい知識と順番さえ押さえれば、「被害回復+再発防止+責任追及」まで、最短ルートで到達することは十分可能です。
法的フェーズの全体像
以下が、実務上もっとも効率的な「責任追及ルート」の全体像です。
この記事では、上から3つ目の「内容証明の送付」から話を進めます。
上の2段階(証拠の整理と学校記録の確定)がまだ終わっていない場合は、先にこちらを確認してください。
→ いじめ対応の全体ロードマップ(証拠〜学校対応)
フェーズ1:内容証明の送付(最初の“法的アクション”)
誰に対して内容証明を出すかによって、保護者が求める賠償や要求の中身は大きく変わります。
- 加害者親に求めるもの:謝罪・慰謝料・弁償
- 学校に求めるもの:調査不備の是正・正式回答
- 教育委員会へ求めるもの:学校への指導要求
このうちどれか一つだけを選ばなければならないわけではありません。
すべて同時に、別々の内容証明で賠償や是正を求めることができます。むしろ、同時並行で動かす方が合理的です。
いじめが発生している以上、学校側の対応にも問題が含まれていることが少なくありません。どこか一つずつ順番に動かすと、例えば次のように時間だけが過ぎてしまいがちです。
- 先に学校 → 学校が対応を引き延ばし、隠蔽して時間を稼ぐ
- 先に加害者 → 学校が動かず、必要な証拠が取れない
- 先に教育委員会 → 学校が「家庭内の問題」にすり替えて逃げる
法律上はそれぞれ独立した相手ですが、現場ではこの3者がお互いに責任を押し付け合う構造になりがちです。典型的には、次のようなやり取りになります。
- 加害者親 → 「学校がちゃんと指導していなかったから」
- 学校 → 「家庭の問題なので」
- 教育委員会 → 「学校に任せています」
この応酬になるのはほぼ想定内なので、最初から 同時に 内容証明を送付しておきます。
→内容証明の書き方・テンプレ・法的効力の解説はこちら
フェーズ2:学校の調査不備を“行政で確定させる”段階
学校がいじめの事実を否定したり、調査義務を放棄したり、明らかに不当な対応を続けている場合は、ここから先は 「行政ルート」 で責任を追及します。
法律的に学校を動かせるルートは主に3つです。
- 教育委員会への行政相談(行政指導の要請)
- 行政文書開示請求(証拠の強制取得)
- 住民監査請求(調査不備・隠蔽の追及)
いずれも法律で定められた正式な手続きであり、学校側が一方的に拒否することはできません。
ここまで進めば、学校側も軽率な発言や曖昧な対応は取りにくくなり、全体として慎重な姿勢に変わります。
1. 教育委員会への「行政指導の要請」
▶ 根拠法令
-
地方教育行政法 第49条
→ 教育委員会は学校の管理・指導監督責任を負う -
いじめ防止対策推進法 第28条
→ 学校が重大事態を認定しない場合、上位機関(教育委員会)が調査義務を負う
▶ 使うべきタイミング
学校が次のいずれかに該当する場合は、すでにラインを越えています。
- 「いじめではない」と、明らかに無理な認定逃れをしている
- 調査報告書を出さない
- 要望書への回答を拒否している
- 担任や管理職が虚偽説明をしている
- 生徒の安全確保を怠っている
これらについて「確実な証拠がない」と感じていても、合理的に疑うだけの状況 があれば要請して構いません。
その疑いを確認し、是正させるための制度が「行政指導の要請」だからです。
「もし私の勘違いだったらどうしよう」といった不安は、ここでは一度横に置いて構いません。
▶ 効果
教育委員会は学校より強い権限を持っており、次のような対応が可能です。
- 校長への指導
- 再調査の命令
- 対応改善の指示
- 重大事態の再認定
つまり、
学校が動かない段階で、教育委員会に投げると一気に動き出す
という構造になっています。
学校が止まっているなら、その上位機関である教育委員会に要求を上げる、というイメージです。
→教育委員会への「行政指導の要請」の具体的な進め方はこちら
行政文書開示請求(証拠の強制取得)
▶ 根拠法令
- 情報公開条例(各自治体)
- いじめ防止対策推進法
- 学校管理規則
▶ 請求できる文書例
学校が外に出したがらない文書は、基本的にすべて開示請求の対象です。
- 校内で作成された「いじめに関する議事録」
- 担任・管理職のメモ
- 対応記録
- 校長への報告書
- 学年会議の記録
- 加害者聞き取りメモ
- 被害者聞き取りメモ
- 重大事態の判断資料一式
行政文書開示請求というと、「弁護士に依頼しないとできない」と思われがちですが、行政が相手である限り、保護者自身(非弁護士)でも手続きは十分可能です。
学校対応の透明性を確保するためにも、早い段階から選択肢に入れておくべき手続きです。
▶ 開示請求の強さ
学校が「そんな文書はありません」と返してきても、それで打ち切りにはなりません。
教育委員会が裏側で内容をチェックするため、そこで虚偽が発覚すれば 確実に行政問題 になります。
もしそう言われたとしても、「そうですか」と一度受けておき、あとは教育委員会側の確認を待てば足ります。
▶ 保護者が得られるメリット
行政文書開示のメリットは、ざっくり次の3つです。
- 学校の虚偽・隠蔽が、後で使える「証拠」として残る
- 弁護士に一式を渡すだけで、法的な戦闘力が一気に上がる
- 損害賠償の証拠価値が大きく高まる
損害賠償まで見据えるなら、行政文書開示は「できればやる」ではなく、早めに押さえておきたい手続きと考えておいた方が現実的です。
→行政文書開示請求の正しいやり方はこちら
3. 住民監査請求(調査不備・隠蔽を“公的に”追及できる手段)
※一般の保護者が使えることはあまり知られていませんが、実務上はもっとも強力なカード です。
▶ 根拠法令
- 地方自治法 第242条
- 地方教育行政法
- いじめ防止対策推進法
これらに基づき、「学校(公務員)の違法な対応・怠慢」について、監査委員に審査させることができます。
▶ 使う場面(該当したら即発動してOK)
これも行政文書開示と同様に、「確実な証拠があること」が前提ではありません。
不透明さや不審な点があれば、その真偽を調べるために利用する制度です。
- 学校が虚偽の説明をしている
- 調査自体を実施していない
- 行政文書を作成していない
- 重大事態の報告義務を怠っている
- 明らかな隠蔽
- 回答期限を守らない
- 要望書への正式回答を拒否している
このあたりに当てはまると感じたら、すぐに検討して構いません。
▶ 効果(実務上めちゃくちゃ強い)
- 監査委員が 学校を調査 せざるを得なくなる
- 学校・教育委員会に対し 正式な報告書提出義務 が生じる
- 虚偽説明があれば行政処分の対象になる
- 校長の態度が一気に変わるケースが多い
これを提出した瞬間、学校側はあなたを「慎重に対応すべき相手」と認識します。
結果として、話し合いが現実的なレベルで進みやすくなることがよくあります。
▶ 現実の効果
たった1枚の「監査請求書」で職員の態度がガラッと変わり、数時間以内に動き出すケースは珍しくありません。
理由はシンプルで、
“監査請求”は役場職員がもっとも嫌がる正式手続き だからです。
→住民監査請求の書き方・テンプレ・提出の流れはこちら
フェーズ3:損害賠償の請求
次は、実際に損害賠償を求めるフェーズです。
民法709・710条を根拠に、
- 慰謝料
- 治療費
- 交通費
- カウンセリング費
- 物損の賠償
などを請求することができます。
示談 → 調停 → 訴訟
どのルートを選ぶべきかの判断基準についても、この後で整理します。
加害者側の法的責任(民法・判例ベースで完全整理)
いじめ加害者(児童・生徒)およびその保護者が負う法的責任は、基本的に 民法を軸に判断 されます。
別記事では、損害賠償請求の場面で“実際に裁判所がどう判断しているか”まで踏み込み、
法律の条文 → 実務での運用 → 判例 → あなたの具体的行動
という流れで整理しています。
→実際の判例と裁判所の考え方はこちら
ここから先は、「学校を動かす」段階ではなく、
加害者・学校に法的責任を取らせる“最終段階” に入ります。
- 法律上どう組み立てるのか
- 実際にいくらぐらい請求できるのか
- 和解と訴訟をどう選ぶのか
これらを、3つのサブフェーズに分けて整理します。
フェーズ4-1:損害賠償が成立するための「法律構造」
損害賠償の二本柱
損害賠償の根拠は、基本的に次の2本柱です。
▶ 民法709条:加害者の不法行為責任
故意または過失により他人の権利・利益を侵害した者は、これを賠償する責任を負う。
未成年の加害者の場合は、
民法714条(監督義務者責任) により、
保護者(監督義務者)が賠償責任を負う可能性があります。
▶ 国家賠償法1条:学校(公務員)の違法行為
公務員が職務上の義務を怠り、その結果として他者に損害が生じた場合には、国または地方自治体が賠償責任を負います。
学校が次のような対応をした場合、
「違法行為(過失)」として責任追及の対象になり得ます。
- いじめを「いじめではない」と誤って判断する
- いじめ防止対策推進法28条の調査義務を果たさない
- 重大事態なのに報告しない
- 聞き取りや対応の行政文書を作成しない
- 虚偽説明・隠蔽を行う
- 被害児童への安全配慮義務を怠る
- 加害児童への指導を意図的に避ける
「こんなこと、本当に保護者に分かるのか?」と感じるかもしれませんが、フェーズ3で触れた監査請求や行政文書開示、これまでに蓄積した証拠を組み合わせることで、これらの有無を裏取りできます。
賠償が認められるための「4つの要件」
実務で弁護士が最初に確認するのは、次の4点です。
1. 故意・過失
- 加害者・学校が 果たすべき義務を怠っていないか
- 危険を予測できたのに、必要な対応をしなかったのではないか
2. 権利侵害(精神的・身体的な侵害)
- 暴力・暴言・SNSでの攻撃・無視・排除・物損・盗撮・心理的支配 など
- 学校については、主に 安全配慮義務違反 が焦点になります
3. 損害の発生(証拠で裏付けできるか)
- 診断書
- 欠席日数・出欠記録
- 心療内科やカウンセリングの記録
- SNSのスクリーンショット・録音
- 保護者による時系列メモ・負担記録
4. 因果関係
- 「いじめ行為」や「学校の不作為」と
- 「現在の不登校・診断名・メンタル不調」
この2つが 因果関係でつながっているか
この4つがそろうと、
加害者・学校に対して賠償請求を行うための“土台” が整います。
条文や裁判例をさらに深く確認したい場合は、こちらを参照してください。
→過去の判例や具体的な法的根拠はこちら
フェーズ4-2:請求できる損害と相場(実務レベル)
ここでは、「どこまで・何を・どのくらい」請求できるのかを整理します。
① 精神的慰謝料(中心になる部分)
あくまで一般的な幅ですが、実務では次のようなレンジで組まれることが多いです。
- 軽度:5〜10万円
(短期間・限定的ないじめ) - 中度:10〜30万円
(数か月の継続、学校の対応に問題あり) - 重度:30〜100万円
(長期不登校・診断書あり・生活への影響が大きい) - 重大事態・PTSD等:100〜300万円 以上もあり得る
ポイントは、
いじめの内容 × 期間 × 学校の対応不備
この3つの組み合わせです。
② 実費(領収書ベースで請求できる部分)
- 心療内科・精神科の通院費
- カウンセリング費用
- 診断書の発行費
- 通院・学校・教育委員会等への交通費
- 制服・教材・持ち物などの物損
- 壊されたスマホ・タブレットの修理費・買い替え費用
これらは、領収書や明細を残しておくほど有利 になります。
③ 保護者の休業損害
- 子どもの対応のために仕事を休まざるを得なかった日数
- 早退・遅刻・有給消化の実績
- 会社員・パートであれば、給与明細やシフト表 で算定可能
「給与明細に反映されているから大丈夫」ではなく、遅刻や早退、休暇を取ったタイミングを、その都度メモしておくと計算が格段に楽になります。
④ その他の損害
個別事情によっては、次のような損害が議論の対象になることもあります。
- いじめを理由とする引っ越し費用
- 私立校への転校費用
- 内申点・進学への影響に伴う不利益
ここから先は、個別事情や既存の判例との比較が必要になる領域です。
実務的には、弁護士と一緒に戦略を組む前提のゾーン と考えてください。
フェーズ4-3:どう決着するか(和解・訴訟・和解書)
ここからは、「最終的にどう終わらせるか」の話です。
和解になるケース(実務では約8割)
次の条件がそろうと、多くのケースは 訴訟に至らず和解で終了 します。
- 証拠が十分にそろっている
- 診断書など客観的な資料がある
- 行政文書開示等で、学校の不備がある程度見えている
- 教育委員会がすでに介入している
- 弁護士がつき、相手側もリスクを理解している
学校側・加害者側も、
「判決まで持ち込まれるより、和解で早く終わらせたい」
と考えるのが普通です。
そのため、金額と条件の落とし所さえつけば、和解(示談)で決着するのが標準パターン です。
訴訟になるケース(残り2割)
一方で、次のような場合には訴訟まで進むことがあります。
- 学校側が最後まで事実関係を否認している
- 加害者保護者が攻撃的・不誠実で、交渉が成り立たない
- 謝罪や慰謝料の金額に大きな開きがある
- 隠蔽の度合いが重く、「判決として残す意味」が大きい
それでも、訴訟の途中で 裁判上の和解 に落ち着くケースも少なくありません。
実務の「標準ルート」
ここまでを、実際の流れに落とし込むと次のようになります。
- 証拠を時系列で整理する
- 学校へ相談文・要望書を提出する
- 議事録・回答書を確保する
- 調査不備があれば、教育委員会へ行政指導を要請する
- 行政文書開示請求で、校内の記録を取得する
- 開示資料をもとに、学校の不備を整理する
- その一式を持って弁護士へ相談する
- 内容証明 → 和解交渉 → 和解 or 訴訟
ここまで積み上げると、
学校・加害者側は、法的に逃げにくい状態 になります。
和解書(示談書)で“法的に終わらせる”
最終的に和解で終える場合、多くのケースで 「和解書(示談書)」 を作成します。
これは単なる「話し合いのメモ」ではなく、
法的効力を持つ契約書 です。
典型的には、次のような項目を盛り込みます。
- 慰謝料・賠償金額と支払い方法
- 再発防止策(クラス替え・指導内容など)
- 学校側が今後とる対応
- 双方がこれ以上争わないことの確認
- 守秘義務・情報の扱いに関する条項
ここをきちんと詰めておけば、後から「言った・言わない」の水掛け論になりにくくなります。
和解書そのものの書き方や項目例は、別記事でテンプレートとしてまとめています。
→和解書の説明・書き方・テンプレートはこちら
まとめ:損害賠償フェーズは「保護者が勝てる構造」に変える作業
損害賠償まで進む案件では、
学校側の不誠実・隠蔽・対応不備 がセットになっていることが多くあります。
いじめ事案では、学校の対応不備が併発しているケースが「多い」だけで、すべての案件で直ちに過失が成立するわけではありません。
ただ、前述の行政文書開示や監査請求を行うことで、学校の対応状況を客観的に確認できるようになり、適切に責任を問うための土台が整います。
だからこそ、
あなたが行う「書面化」と「行政ルートでの手続き」が効いてきます。
- 証拠
- 行政文書
- 監査請求
- 教育委員会の指導
これらがそろうと、
学校も加害者側も 法的に逃げづらい状態 になります。
Q&Aコーナー
Q1. 内容証明は誰から送るべき?保護者?弁護士?子ども本人?
A. 結論として、もっとも合理的で安全なのは「保護者名義」です。
子ども本人名義で送ると心理的負担が大きく、相手側が過剰反応するリスクもあります。弁護士名義は効果が強い一方で、費用がかかり、送付までの準備にも時間を要します。
保護者名義で送っても内容証明の法的効力は変わりません。まずは保護者名義で出し、その後の状況に応じて弁護士名義へ切り替える、という運び方が現実的です。
Q2. 加害者・学校・教育委員会へ同時に要求を出しても問題ない?
A. 問題ありません。むしろ実務では「複数同時」が普通です。
内容証明は相手ごとに目的が違います。加害者側には謝罪や慰謝料、学校には調査の是正、教育委員会には指導要求と、役割が分かれています。
同時に動くことで、各所の説明の整合性が取りやすくなり、学校が“言い訳で逃げる余地”も減ります。結果として、全体の手続きがスムーズに進みやすくなります。
Q3. 学校が“事実を否定”してきた場合、どう反論すればいい?
A. 否定された瞬間に優先すべきは、「議事録の確保」と「行政文書開示」です。
その場で口頭反論しても記録が残らず、後から覆される可能性が高くなります。まずは学校側の発言を議事録に残させ、その記録を基に教育委員会ルートへ移行する方が確実です。
行政文書開示で校内の対応記録を取れば、学校の説明との矛盾が可視化されます。感情で言い返すのではなく、「記録」と「手続き」で詰めていくことで主導権を握れます。
Q4. 行政文書開示請求はどこまで取れる?学校が“ありません”と言った場合は?
A. 学校側の「ありません」という返答そのものには、あまり意味がありません。
行政文書開示請求は、教育委員会が裏で実際の有無を確認する手続きです。学校が虚偽を述べた場合でも、教育委員会の審査段階で露呈します。
実務では、校内メモ・報告書・聞き取り記録・会議録など、多くの文書が開示対象になります。学校が渋ったとしても、あなたがやることは「請求を出し、回答を待つ」だけで、手続き上の負担は大きくありません。
Q5. 監査請求は一般保護者でも使える?ハードルは高い?
A. ハードルは想像より低く、一般保護者でも十分に使えます。
監査請求は「役所の不当な対応をチェックする制度」であり、代理人や弁護士は必須ではありません。1〜2枚の書類で提出できます。
実際に出してみると、職員の態度が劇的に変わるケースが多く、学校・教育委員会ともに透明性を持って動かざるを得なくなります。実務上、非常に強力な一手です。
Q6. 損害賠償の金額はどうやって決まる?相場は固定?
A. 相場は「固定」ではありませんが、実務上の目安となる幅はあります。
精神的慰謝料、治療費、カウンセリング費などを組み合わせ、いじめの内容・期間・学校対応の不備の程度を踏まえて金額が決まります。
診断書や出欠状況、行政文書開示で判明した学校の怠慢がそろうほど、金額は上がりやすくなります。要は、どこまで証拠を積み上げられるかが勝負です。
Q7. 和解と訴訟、どちらを選ぶべき?
A. 証拠がそろっているなら、多くのケースでは和解(示談)で終わります。
訴訟まで行くと時間も費用もかかり、学校・加害者側の負担も大きくなります。そのため、双方にとっては和解が合理的な選択になることが多いです。
ただし、事実否認や隠蔽が重度で、学校側が誠実な対応を取っていない場合には、「判決として記録を残す」意味が大きくなります。状況に応じて、和解か訴訟かを冷静に選ぶのが現実的です。
Q8. ここまで全部、弁護士なしで本当に可能?
A. 可能です。
行政文書開示・監査請求・議事録の確保は、いずれも保護者単独で行える制度であり、実務でも保護者が主体となって進めるケースは少なくありません。
ただし、損害賠償の交渉が具体的に始まり、金額や条件のすり合わせに入った段階では、弁護士のサポートがあった方が安全です。そのタイミングで依頼を検討するイメージで問題ありません。
