目次
今すぐ動くべき緊急ラインを知っておくと判断がぶれません
いじめが起きていると分かった瞬間から、保護者の頭の中には「どこまで深刻なのか」「今すぐ動くべきなのか」という迷いがずっと残ります。
ここで必要なのは、“感覚”ではなく“基準”です。状況を 専門機関が見るライン に近づけて整理しておくと、行動の優先順位がはっきりします。
生命・自傷リスクがあるライン
子どもが「死にたい」「学校に行きたくない」を繰り返す、深夜に泣き続ける、パニック状態になる。
このあたりは迷うラインではなく、即外部介入レベル です。自傷の示唆がある場合は、学校より先に児童相談所や警察の領域になります。
精神症状が急激に悪化しているライン
食欲が急に落ちる、夜に眠れず朝も起きられない、腹痛・頭痛がほぼ毎日出る、登校のたびに嘔吐がある。
こうした“短期間での急変”は軽視できません。精神科の診断が付く前でも、緊急度は高く扱われます。
暴力・脅迫・恐喝など「刑事要素」が入るライン
殴る・蹴るなどの暴行だけでなく、
- 「殺す」「学校来るな」などの脅し
- 「やらなかったら金を払え」などの恐喝
- 嫌な行為を無理やりさせる強要
- SNSでの名誉毀損・晒し行為
こうした行為は、刑事事件の範囲 に入ります。
刑事要素が入った時点で、「学校だけで処理する話」から外れます。
緊急度スコアで状況を3段階に整理する
迷いが生まれやすいのは、“その場の直感”だけで判断しているときです。
ここでは緊急度をレベル1〜3に分け、誰でも判断しやすい形にします。
レベル1(即外部介入が必要)
命・安全に関わる可能性がある状態です。
- 自傷の言動・示唆がある
- 暴行・脅迫・恐喝が続いている
- 精神症状が短期間で急激に悪化している
このレベルは、学校では処理しきれません。
児相 や 警察 を前提に考えるラインです。
レベル2(72時間以内に相談)
急変ほどではないものの、継続した心身の不調やいじめがある状態です。
- 不登校と登校を行き来している
- SNSでの攻撃が続いている
- 学校の動きが鈍い・様子見が長い
このラインは、学校と教育委員会を“並行して”使うことを前提にします。
教育委員会への相談方法はこちらレベル3(学校対応+経過観察)
緊急性は高くないが、いじめが続いている状態です。
- 今すぐ命の危険というほどではない
- ただし、からかい・無視・陰口などが続いている
このレベルでは、記録を取りながら学校と対話し、必要に応じてレベル2へ切り替える準備をしていきます。
学校での相談の進め方と、相談文のテンプレートはこちらをご利用くださいませ
緊急度別に「最初の行動」を明確化する
フローとして視覚化しておいたほうが、迷いなく動けます。
自分のケースがどのレベルに近いかをイメージしながら見てください。
レベル1 → 警察/児相へ直行
危険の恐れがある場合は、学校より外部の専門機関を優先します。
児相は子どもの保護、警察は暴力・脅迫の停止に強い領域です。
この段階では、「先に学校へ言わなければならない」という条件はありません。
レベル2 → 学校+教委へ並行相談
学校の調査・配慮だけでは限界が見えているケースです。
担任・管理職への共有と同時に、教育委員会にも現状を伝えておくと、対応が止まりにくくなります。
レベル3 → 学校へ事実共有と記録開始
緊急ではないものの、いじめが続いている状態です。
まずは学校での相談から始め、その段階から 記録 をつけておくことで、レベル2・レベル1に切り替える際の材料がそろっていきます。
初動で揃えておくべき最低限の情報
完璧な台本や長い書面は必要ありません。
たった3つだけ揃えれば、どの窓口でも話は通ります。
被害の事実(誰が/いつ/どこで)
できるだけ短く、時系列で整理します。
- ○月○日:教室でAさんから叩かれた
- ○月○日:下校中に「来るな」と脅された
- ○月○日:SNSで悪口の投稿があった
この程度の粒度で十分です。
より詳しい証拠ノートの作り方とテンプレートはこちらで解説しています。
子どもの症状(心・身体)
食欲、睡眠、泣く頻度、朝の抵抗感など、日常の変化を押さえます。
診断書があれば非常に強い材料になりますが、なくても相談は可能です。
学校の対応履歴(報告/返答/未対応)
- いつ
- 誰に
- 何を伝えたか
- そのとき何と言われたか
この4点をメモしておくだけで、どの窓口でも話が早くなります。
外部相談先の使い分けを間違えると動きません
窓口ごとに役割と得意分野が違います。
「誰に・何を相談するのが妥当か」を押さえておくと、空振りが減ります。
学校が向いているケース・向いていないケース
学校が得意なのは、初期調査やクラス内での配慮設定です。
一方で、次のような領域はそもそも学校の守備範囲外です。
- 暴行・脅迫・恐喝などの刑事事件
- 保護者同士の激しい対立
- 家庭の安全確保が必要なケース
ここまで来ると、学校だけで抱えさせるのは無理筋です。
児童相談所が動くライン
自傷の恐れがある、家庭が明らかに疲弊している、子どもの精神状態が不安定で生活が回らない。
こうした「安全確保」が主なテーマになるときは、児相が適した窓口です。
警察介入が必要なケース
暴行、脅迫、恐喝、強要、SNSでの名誉毀損など、明確な犯罪要素がある場合は警察の領域です。
このラインを学校内だけで抱え続けると、むしろ学校が適切に動けなくなります。
教育委員会へ切り替える判断基準
- 学校が動かない・動きが遅い
- 管理職が状況を把握していない
- 調査が表面的で、加害側への聞き取りが弱い
こうした「学校の機能不全」が見えてきたら、教育委員会の出番です。
初動後に継続すべき観察と記録
いじめ対応は“一度動いて終わり”にはなりません。
外部機関は、初動よりもむしろ 継続記録 を重視します。
子どもの変化(食欲・睡眠・不安度)
小さな変化でも構いません。
- ご飯の量
- 夜の寝つき
- 朝の表情・登校の抵抗感
こうしたメモが積み重なるほど、次の判断が正確になります。
学校とのやり取りの記録化
- 面談のあとに内容をメモする
- メールや連絡帳はコピー・スクショを残す
- 電話の内容も、日付と要点だけメモしておく
「記録があるかどうか」で、外部機関の動き方は大きく変わります。
外部相談先からのアドバイスの整理
児相・警察・教育委員会それぞれから受けたアドバイスも、簡単でいいのでまとめておきます。
- いつ
- どの窓口で
- 何を言われたか
が分かるだけで、次の相談がとてもスムーズになります。
今日できる“緊急度の判定と初動”
最後に、迷わず動くためのミニマム行動だけをまとめます。
- 自分のケースの緊急度をレベル1〜3のどこかに当てはめる
- 緊急度に応じた“今日の行動”を1つだけ決める
- 初動に必要な記録(事実・症状・学校対応)をメモでそろえる
- 必要な外部相談先を1つ選び、連絡する時間帯を決める
状況が深刻なほど、保護者が一人で判断し続けるのは危険です。
“緊急度”という共通のものさしを持つだけで、行動の迷いはかなり薄れます。
そして、どこか一つでも「うちのケースに近いかもしれない」と感じる部分があれば、こちらの
イジメ対応の全体ロードマップ
を見ながら、然るべき機関に相談し、無理のないペースで解決を目指していきましょう。
